はじめに
本項では、骨粗鬆症そのものを改善するものではありません。
加齢に伴うリスクや進行をできる限り抑える為の要点を捉えてお伝え致します。
症状
骨の強度が低下し、骨折しやすくなる状態を指します。
特に整形外科疾患で多いのが、大腿骨頸部・圧迫骨折(脊椎)・上腕骨・手根骨の骨折です。
女性の場合は、閉経後のホルモンバランスの崩れにより50台前後で急速にリスクが高まります。
原因
一般的な原因について
薬品の副作用、閉経後の女性ホルモン分泌の低下、タンパク質の吸収を阻害する病気、低栄養(タンパク質・ビタミンDやビタミンCの欠乏)、外傷、骨への外力不足等があります。
これらの原因に対して、いくら対処を行っても、加齢に伴い骨の新陳代謝は崩れていきます。
しかし原因に対処を行う事で、進行リスクを限りなく抑えていく事は可能です。
骨粗鬆症の内服加療では、主に骨吸収を抑える薬と骨形成を促進する薬、栄養(ビタミン製剤・カルシウム製剤)が一般的です。まずは、この薬の効果同様の対策を行なっていく事が進行を抑える鍵となります。
ただし、自分で行えるセルフケアに絞った範囲内でお伝え致します。(ホルモンバランスやタンパク質の蓄積を伴うような疾患等のセルフケアでは対処が難しい内容は省きます)
骨吸収を抑える、骨形成を促進する
骨は、骨芽細胞・破骨細胞で繰り返し代謝されています。代謝には適度な刺激が必要です。
よく運動する事は大切と言われています。運動する事により、骨芽細胞が活性化する事で骨形成が促されるからです。
医学用語でウォルフの法則という言葉があります。骨には、一定の負荷がかかる事により強度を上げることが可能です。その一方で負荷のかからない部分は弱くなります。足の骨折後のリハビリでは、骨が完全に回復するまでずっと安静にする訳ではなく、少しずつ体重をかけてますよね。それも骨の回復を促進する目的も含まれます。
その為、全身の骨にくまなく適度な刺激を与え続ける事が大切です。
栄養状態を整える
ここで必要な栄養素は様々ですが、厚生労働省のガイドラインで記載されている通り、カルシウム・ビタミンD・ビタミンKの摂取は重要となります。
カルシウム:骨の基盤
ビタミンD:カルシウムの吸収を高める
ビタミンK:カルシウムを骨に沈着させる
必要な摂取量に関しては、性別・年齢により異なります。
厚生労働省のガイドラインで記載されていますのでご参考下さい。
こちらの記事をご拝読の方は、恐らく栄養面にも重視して生活を送られている方が大半だと存じます。
しかし栄養面を整えても、内臓状態が整っていなければ十分とは言い切れません。
内臓状態を整える
カルシウムは主に小腸から吸収されます。
ビタミンKは小腸で吸収されます。
ビタミンDは小腸、腎臓でのカルシウム吸収を促進します。
上記吸収部位である小腸・腎臓等の臓器が正常に機能しにくい状態の場合は、吸収不全が起こります。
臓器が正常に機能しない原因については、ご病気によるものも可能性としてありますが
特に検査を受けても異常がない場合は、臓器を支配する自律神経系に視点を置くことも重要です。
自律神経が物理的圧迫を起こしている場合は、臓器の正常な働きを妨げる要因となります。
下記“対策”の内臓状態の整えるでは、物理圧迫による対処法のみを紹介しております。詳細は対策をご覧下さい。
外傷等で生じた筋肉損傷_靭帯断裂部を過度に刺激しない
私は病院勤務時代、レントゲン画像は幾度とみてまいりました。本来、筋肉は黒く写る組織ですが、
圧迫骨折や肩関節疾患の方の中には、白く写っている場合があります。カルシウム繊維が沈着し石灰化を起こした結果のものです。
では、なぜ石灰化が起こるのか。
筋肉が断裂を起こした場合は、筋繊維が更に引き離されないようにカルシウムが損傷部を覆い接着剤のような役割をします。そして治癒が完了する事で徐々にカルシウムは抜けていきます。多少差はありますが、1ヶ月半〜2ヶ月ぐらいでカルシウムは抜けていくでしょう。
しかし、回復過程を妨げるような行為を繰り返す事でカルシウムが抜け切れず徐々に増えて溜まってしまう事があります。更に治癒が完了するまでに時間が延長します。結果的に筋肉の損傷箇所の柔軟性は失われます。
もし上記と同じ事が広範に起こっていれば、骨内のカルシウム不足が起こり、骨は脆弱化するでしょう。
ここまでの説明が分かりにくい場合は“骨貯金で調べてみて下さい。他サイトでもわかりやすく紹介している記事もありますので。
私の経験上では、圧迫骨折を頻繁にされる方のレントゲンでは、まさに骨周囲の筋肉組織(腱)が白く写っている事が多いです。ご高齢の方に非常に多いです。
骨を強くする為には、石灰化した筋肉からカルシウムを取り戻す必要があります。
石灰化した筋肉(=カルシウムの沈着した筋組織)は、適した対処法を行う事で改善致します。対策法をご覧下さい。
対策
全身運動を行う
できる限り骨に垂直の刺激を与えてあげる事が効果的です。
かかと落とし運動・・立った状態で足を肩幅に広げ姿勢を正します。両足の踵を上げた後、同時に床にストンと落とす運動。1日の中で30回〜50回行います。日本人は骨密度の高い民族の為、慣れてくれば50回〜100回へと徐々に数を増やしてあげて下さい。※無理に行うと疲労骨折のリスクも上がる為、急激に回数を増やすのは避けて下さい。
栄養状態を整える
カルシウム・ビタミンK・ビタミンDの必要摂取量が不足している場合は、バランスの整った食事に変更する
または、サプリメントを摂取する事も一つです。
内臓状態を整える
小腸・腎臓を支配する自律神経系の物理的圧迫の関係性の深い組織を柔らかくする必要があります。セルフケアを直接的に行うのは非常に困難ですが、間接的にケアする事は可能です。
脊柱起立筋(背中を支える大きな筋肉)と呼ばれる筋肉を全体的に柔らかくしていきます。特に胸椎5番から12番の高さが集中的に行うと効果的です。
ストレッチ方法沢山ありますが、推奨する方法としては3つを紹介致します。
①
仰向けの状態から両足を頭側に運んだ位置から始めます。(逆ヘの字になった状態で床には頭・背中・足先が付いています。) ※顔を両膝にぶつけないよう気をつけて下さい。
両手で上体を支えながら上から順に(肩甲骨あたりから背中・腰へと)ゆっくり床につけていきます。
背骨を一個ずつ付けるように意識して行うが大切です。
②
四つ這いの姿勢から始めていきます。ドームを作るような感覚で上に凸のカーブを作るように
大きく丸めていきます。十分にストレッチ効果があります。
③
立った状態や座った姿勢で初めて下さい。背中の硬い筋肉を指で軽く抑えた状態でお辞儀をするように上半身を大きく倒します。または体を左右に倒したり、捻ったりして下さい。
①と②で紹介したストレッチ方法では、事前に身体を温めた状態から行うと効果的です。
お風呂上がりや、ホットタオルの使用が良いと思われます。
外傷等で生じた筋肉損傷_靭帯断裂部を過度に刺激しない
損傷部に沈着したカルシウムは1ヶ月半ー2ヶ月以内で抜けますが、治癒過程を妨げる事で延々と沈着し続けます。
もし、大きな事故を起こした場合は、痛み留めを服用しながら無理な動きは行わないで下さい。
また後遺症で長期的に柔軟性の損なわれた筋組織は伸縮性が不足している状態です。その場合は、硬くなった筋肉を指で軽く押し当てながら筋肉の伸縮運動(肘を曲げる・首を動かす等で抑えている部分の筋肉が最も動く運動)を行って下さい。石灰化した筋肉が柔らかくなる事で筋肉に張り付いたカルシウムを抜く事は可能です。
おわりに
骨粗鬆状の治療を受けておられるお客様に私はよく問います。お医者さんから日常生活の指導はありますかと。
その中で「適度に歩く事」「日を浴びる事」は圧倒的に多く見られました。
「日を浴びる事」は皮膚からビタミンDを生成する事に繋がるので納得です。ヌーディストビーチが行えればより効果的ですが、日本では難しいので法に反しない範囲でお願い致します。
「適度に歩く」に関しては、骨刺激として有効な為、否定はありませんが、対策法で紹介したかかと挙げ運動の方が骨への刺激は効果的です。骨へ垂直の刺激がかかりやすいからです。通勤や買い物での信号の待ち時間等を有効活用してみてはいかがでしょうか?肩や腕が弱い方に関しては、最初は四つ這いや腕立て伏せの姿勢などの床に手をついた状態で体重をかけていく事も必要と思われます。
現代では、様々な健康器具や油圧式トレーニング機械など普及されています。
自分に合ったジムに通う事が限りなく予防になりうる一歩と私は考えています。そういった環境を活かし満遍なく骨刺激を与えて下さい。ただしそれこそ適度にです。
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