はじめに
舌苔(白い苔のようなもの)が厚く付着している場合は、味覚障害と類似した症状を起こしている可能性があります。
その場合は、舌用ブラシ等を用いてまずは口腔ケアを行なって下さい。
その上、特別な疾患がなく(舌の火傷等の外的障害含む)、医師に診察しても原因不明とされた場合に本項をご参考にセルフケアを行って頂くようお願い致します。
症状
味の感度が低下し、味が分かりにくい等の味覚機能低下の全般を指します。
味覚減衰・・・味の感度が低下し、わかりにくい
味覚消失・・・味覚消失より重度で全くわからない。
自発性異常味覚・・・口に何も含んでいないにも関わらず、苦い等の異常が生じる。
解離性味覚障害・・・特定の味のみ分からない。
味覚過敏・・・味が薄く感じる
等の症状があります。
原因
味覚には、甘味・酸味・塩味・苦味・旨味があります。旨味に関しては、アミノ酸やグルタミン酸などに感じる味覚として近年に国際的認知されました。
味覚を感じる時は、舌の表面にある舌乳頭と呼ばれるものの中にある味蕾(味細胞)で味を感じます。舌乳頭は粒状のものとして存在し、茸状乳頭、糸状乳頭、葉状乳頭、有郭乳頭があります。
味蕾は人の舌に5千数百個(※咽頭・喉頭等の舌以外に2千数百個あります)存在し、茸状乳頭に30%、葉状乳頭に28%、有郭乳頭に42%の割合で分布されていると言われています。糸状乳頭にはありません。
味蕾→神経→脳へと伝達される事で味を認識します。
味覚障害が起こっている場合は、味蕾、神経系に支障があると考えて妥当でしょう。
その為、①味蕾・②神経系を整える必要があります。
①味蕾
味蕾細胞の新陳代謝が悪くなっている場合は味覚障害を起こす原因となります。
新陳代謝低下の原因と影響には、共通して血行不良による栄養素の供給の低下とその栄養素の不足が考えれます。
血行不良による栄養素の供給の低下
味蕾を直接栄養する動脈は舌動脈となっています。その周辺の筋肉の緊張による圧迫が起こっている場合は
血行不良を起こします。
栄養素の不足
味蕾に必要な栄養素の一部に亜鉛が含まれます。亜鉛は味蕾の新陳代謝に必要な栄養素です。(味覚障害の半数以上は亜鉛との関連性が有り極めて重要な栄養素です。
亜鉛欠乏状態であれば、味覚障害のみでなく、嗅覚障害や脱毛症状等の症状を起こしうると知られています。
もし亜鉛の摂取不足であれば、食事改善やサプリメントの摂取が必要です。
しかし亜鉛摂取が過剰となった場合は胃腸障害や貧血症状等の不調症状を起こす原因ともなります。
厚生労働省推奨の摂取量に関しては、一般的に成人男性は約11mg、女性は約8mgと言われ、妊婦の場合はそれ以上に必要と言われております。
亜鉛を摂取すると主に十二指腸、小腸(空腸)で吸収されます。吸収された亜鉛は肝臓に蓄えられ全身へと供給されます。上記臓器に疾患・不調がある場合は摂取しても効率よく吸収が出来ません。
また摂取した亜鉛が吸収されず排泄される場合は腎臓機能低下を起こしている可能性があります。
生活習慣病としてご存知の糖尿病は上記消化器疾患や神経障害を起こしやすいと言われています。
吸収不良が起こっている場合は、原因を知る為に医師の診察を行い、まずは然るべき治療を受ける必要があります。
②神経系
神経から脳への伝達においては、神経が正常に機能する為に神経伝達物質が必須となります。神経伝達物質はセロトニン・アセチルコリン・カルシウム・カリウム・GABA・DHA等、数十種類にも及びます。市販サプリメントで摂取する事も可能ですが、確実に不足している栄養素を特定する為には、まずは医師の診察を受ける事や、食事の専門家(管理栄養士等)に相談し不足しがちな栄養素を特定してから食事改善を図っていく方が望ましいと思われます。上記過程が面倒であれば、バランスの整った食事を意識する事も一つでしょう。
しかし栄養素が充足していても、神経の部分的な損傷や不調がある場合は、改善にはいたりません。脳血管疾患やうつ病などで脳細胞が機能しにくい、または壊死している場合も同様です。
神経そのものの信号が悪くなっている場合は、同時に血行不良も起こっている可能性があります。この場合は、血行を整える必要もあると思われます。
対策
食事の改善
亜鉛の摂取量不足が起こっている場合は、食事・サプリメント等で補足しましょう。
しかし亜鉛の過剰摂取による不調症状も存在します。血液検査を受ける事で亜鉛濃度を調べる事が出来ますので、まずは医療機関への受診をお勧め致します。
また、神経伝達物質の栄養素不足が起こっている場合も同様で医師の診察や栄養アドバイザーのカウンセリングを受け
食事改善を図っていく必要があります。
舌の血行を整える
筋肉による圧迫が強い場合は、血行不良が起こっている可能性があります。舌の血液供給を行なっている舌動脈が顎の内側にあります。その周辺の筋肉を柔げていく必要があります。部分的に柔げるより、顎から鎖骨にかけて(首の前面)を過不足なくリラクゼーションを行なっていく事が望ましいですが、まずは顎の裏から骨をなぞるように触れていき、硬くなっている筋肉のみターゲットにしましょう。触れる筋肉によっては、首を後ろに沿ったり、頭を右・左へと回す動きや口を開閉するといった様々な作用があります。その為、硬い筋肉に触れている時は、その筋肉を軽く指で押し当て大きく伸縮を伴う動作を行えば十分にリラクゼーション効果があります。
臓器への血行状態の整える
亜鉛消化・吸収に関わる臓器を支配する自律神経が乱れている場合は整える必要があります。物理的な神経圧迫が起こっている場合は、周囲の硬くなっている組織を柔らかくする必要があります。私の臨床経験上では主原因と思われる組織は、背中・腰の深層の筋肉です。セルフケアを直接的に行うのは非常に困難です。その為、間接的に影響を及ぼす可能性の高い表層の筋肉を柔らかくしていきます。脊柱起立筋(背中を支える大きな筋肉)です。
特に胸椎5番から12番の高さの筋肉を柔らかくするというのが効果的です。
ストレッチ方法沢山ありますが、推奨する方法としては3つを紹介致します。
①
仰向けの状態から両足を頭側に運んだ位置から始めます。(逆ヘの字になった状態で床には頭・背中・足先が付いています。) ※顔を両膝にぶつけないよう気をつけて下さい。
両手で上体を支えながら上から順に(肩甲骨あたりから背中・腰へと)ゆっくり床につけていきます。
背骨を一個ずつ付けるように意識して行うが大切です。
②
四つ這いの姿勢から始めていきます。ドームを作るような感覚で上に凸のカーブを作るように
大きく丸めていきます。十分にストレッチ効果があります。
③
立った状態や座った姿勢で初めて下さい。背中の硬い筋肉を指で軽く抑えた状態でお辞儀をするように上半身を大きく倒します。または体を左右に倒したり、捻ったりして下さい。
①と②で紹介したストレッチ方法では、事前に身体を温めた状態から行うと効果的です。
お風呂上がりや、ホットタオルの使用が良いと思われます。
さいごに
高齢に至れば至る程、脳細胞は徐々に萎縮していきます。認知症やアルツハイマー病等の脳細胞萎縮によって起こりうる症状を持っている場合は、本項での対処法では改善は難しいと思われます。また脳出血や脳梗塞等の脳血管疾患においも脳細胞壊死が起こる為上記同様です。その他、薬の副作用や腫瘍疾患(放射線治療含む)の場合も神経伝達に異常を起こしうる可能性があります。
もし常飲している薬の中に副作用を起こしている可能性がある場合は、一度医師に相談し内服を変更するか中断するか
ご相談する必要があります。自己判断での変更・中断は決して行わないようお願い致します。
上記に含まれず、その他の特別疾患を除けば、上記対策で紹介した事を行う事で緩和する可能性があります。
当記事はあくまでセルフケアの行える範囲内での紹介のため、症状改善が難しい場合は施術のご相談もお受け致します。お気軽にお問い合わせ頂ければと存じます。
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